知ったかぶりをする青年
今日は本当にありがとう。
君のおかげで楽しい時間が過ごせたよ。
ここの料理、君のお口にあったかな?
そう? よかった。
でも、待って、最後にもう一つだけ……〆のうどんを頼んであるんだ。
大丈夫! 安心して。ここのは特別!
お腹いっぱいでも食べられちゃうから。
お、話をすれば来た来た。
女将さん、ここのうどんは本当に美味しいよね。
これ大将の手打ちでしょ?
小麦は? どこの使ってるの?
この香りの良さは北海道かなあ。
…え!? 冷……凍……?
ふぅん……そうか……
アハッ☆
これが令和の技術力だよ!
事件現場に来た、若手刑事
警部、ここが例の現場です。
ガイシャ(被害者)はこのアパートに住む35歳の男性。
3年前からここに住んでいます。
一人暮らしだったようですが、友人や同僚がよく訪ねてきていたみたいですね。
死因はおそらく後頭部からの出血。
あの血の量じゃ即死でしょう。
まあ被疑者も捕まってますし、今回のヤマは解決ですかね~。
って、あれ? 警部?
え? どこ行くんですかー!?
街を愛するが故に暴走する、不思議な力を持った青年
ほら、あそこのビル、昔はなかったんだよ。
あそこには小さな公園があったんだ。
あのデパートは森だったし、道だってアスファルトで舗装されていなかった。
……20年前とはまるで違う。
僕の好きだった街はもうほとんど残っていない。
これからもどんどん変わっていくんだろうね。
でもそれはどうしようもないことだ。
時代の流れは止められない。
僕だってよくわかってる。
だから、僕はこの力で、僕の好きだった街をとりもどすことにしたんだ。
この先、時代が何度流れようと、何度だって作り直すよ。
君は邪魔だ。死んでくれ。