わたし、大きくなったら先生みたいな大人になりたい!
可愛くて、ピアノが弾けて、絵が上手で、みーんなに優しいの!
あ! でも男の子たちが悪いことしたときには、しっかり怒るよ!
あーあ、早くわたしも大人になれたらいいのになぁー。
ごめんね~手伝ってもらっちゃって!
写真部、私しかいないからさ。
こういう資料とか道具って1人で運ばないといけないから大変だよ~。
ちなみに、君って写真に興味ない?
写真ってすごいんだよ!?
ほんの一瞬の時間を、永遠の思い出にできるっていうかさ。
それに! 構図とか、被写界深度とか、絞りとシャッタースピードとISOのバランスとか、奥が深い!
なによりさ、君と写真撮りに行けたら楽しいなって思うから!
ママ! ママ!!!
なんなのこれ!?
ドレスって……これでプロムに行けって言うの?
信じらんない!
いつの時代のドレスなのよ!
こんなの着ていったら皆の笑いものだよ!?
もう……最悪。
ママが任せとけって言うから、お願いしたのに。
信じた私が馬鹿だった。
もういい、プロムにはいかない。
あ? アタシが授業サボろうが関係ないでしょ。
センコーがこんなとこまで来て説教たれてんじゃねーよ!
アタシの何を知ってるっていうのよ?
どうせ、金持ちのバカお嬢様とでも思ってるんでしょ!?
アタシだって、別にこんな家に生まれたくなんてなかったわよ!
小さい頃から、厳しく育てられて、褒められたことなんて一度もない。
たまに友達と遊ぶことすら許されない。
……あんたに、あんたたちなんかに……私の辛さがわかるわけない!!
私、アイドルになる。
お父さんとお母さんが心配するのもわかるよ。
才能なんてあると思ってないし、自分が特別な女の子なんて思ってない。
たぶんすごく大変な道だと思う。
でも、歌が好きなの。ダンスが好きなの。ステージが好きなの。
だから、私絶対アイドルになる!
お主がワシの契約者じゃと?
じーーーーーーーっ。
お主、弱そうじゃの……。
ワシが誰だかわかっておるのか?
ワシは、他化自在天(たけじざいてんのう)、またの名を第六天魔王(だいろくてんまおう)じゃぞ!!
本来お主のような小童ごときが契約できる存在じゃないのじゃ!
うう、だが、今は腹が減りすぎて、選り好み(えりごのみ)している場合じゃないからのう。
仕方あるまい。お主と契約してやる!
……さあ、お主の魂を捧げよ。